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アステラス製薬での男性育児参画

  • 情報システム部  部長 須田 真也
  • 情報システム部
    サイバーセキュリティグループ
    西川 龍馬

*所属部署・部門名は取材当時のものです

育休の取得を相談する際、どのようなコミュニケーションがあったのでしょうか?

西川 男性の情報システム部員として取得した人がいないと聞いていたので、どういう反応になるか全く心配がなかったわけではありませんが、部署として環境の変化に適応することを是としているのでためらいはなかったです。上司は驚きつつも調整してくれました。

須田 実は西川さんから相談を受けた際、自分に子どもがいないこともあり、正直男性が育児休業を取っても何ができるのかピンときていなかったんです。素朴な疑問として「何するの?」と尋ねると、彼は「2人目なので上の子の面倒を見るとかいろいろできるんですよ」と。あれもできます、これもするんです、と話を聞いて率直に「会社の仕事より大変じゃないか……!」と感じました。より大変な場所に身を置くのに、会社の立場から「休業」とするのは違和感があったので、「これはもう『出向』だな」と考えて部内会議でもそう伝えました。

部内のメンバーに周知した際はいかがでしたか?

須田 「西川さんは出向し、これから家事と育児に専念します」と言ったところ、最初は「え?」「いや、休業でしょう」というリアクションでしたね。ですが、「彼はこれから会社よりも厳しい環境でしばらく仕事をします」と伝えると、私が意識して「出向」と言った意図を理解して「なるほど」「それはそうだな」と納得してくれました。

西川 家族のためにという部分は皆さん大賛成してくれて、「任せといて!」と心強い言葉も。いい会社だなと思いましたね。

須田 助け合いの風土があってほしいと期待していますよ。部内のメンバーには折に触れて、たとえば病気で仕事を離れなくてはならない、子どもが怪我をして休まなければいけなくなったときなどには「ごめんなさい」ではなく「ありがとう」と言おうよ、と伝えるようにしています。それだけで気持ちの持ち方が変わりますし、次に別の誰かがそうなったときに今度は自分が助けてあげようと思うじゃないですか。「ごめんなさい」で自分の中に閉じ込めてしまうのではなく、広がりを持たせるためにも「ありがとう」を意識するように声かけしています。

現場を離れてみて、仕事に対して気づいたことはありますか?

西川 休業中はまったく会社のことを考えず、基本的にこちらからも連絡を取りませんでした。こんなに専念できるんだと驚きましたね。

須田 子どもは24時間体制で対応が必要なわけで、大変な状態ですよね(笑)。だから「会社の仕事はこっちでやるから任せろ。代わりに会社がサポートできない家庭のことは徹底的にやってくれ」と思っていました。ただ休業中も情報システム部員であること、同僚であることは変わらないので、そういう意味で部員の異動や退職の連絡、業務に関係しないコミュニケーションは自由にとる方針でした。

西川 一応、会社の情報にアクセスできる形はとっていたので、万が一の情報のキャッチアップはできる体制でした。実際にはしませんでしたが。

育休を取得しやすい環境にするために、何が大切だと思いますか?

西川 いろんな事情で当たり前に仕事を休んだり、時間の制限を設けたりすることがあるのだともっと共有できたらいいと思います。育休を取る過程で、育児に限らず介護などを理由とした休業・時短を多くの人が選択していると知りました。若い人はそれをあまり想像しておらず、自分だけが休むことに抵抗が強い気がします。働いている意義のかなりの割合が「家族のため」である人は多いと思いますし、長い労働人生の中で、家族のために仕事を立ち止まることがあるのは当たり前。それを受け入れる上司や周囲、今働いている仲間を信じれば、一時的な欠員も怖くなくなると思います。

須田 会社の仕事だけが仕事だと思いがちな“アンコンシャスバイアス”の存在を認識し、それを意識的に払しょくすることが必要だと考えます。会社や上司は、部員の時間を本人や家族から借りているのだという意識を持つようにすると視点が変わるのではないでしょうか?またみんなが育児や家事について、会社の仕事と同じようなテーマで会話できる環境づくりが効果的ではないかと思います。その中で、違う価値観・違う感性の人たちが、ひとつの環境でどう折り合いをつけてやっていくか。選択肢も毎回同じじゃなくてもいいと思うんですよ。前回はこうだったけど今回はこうだよねという判断があってもよくて、それはなぜかを毎回話していれば、全員が同じ考え方でなくてもいいのかなと思います。またマネージャーの立場としては、「していいんだよ」「やっていいんだよ」というスタンスでいることも大切だと考えます。「やっていいと思いませんでした」と言われるのが個人的には一番悲しいです。

育児や病気、介護などそれぞれの事情を受け入れられる環境づくり、意識を持つために、ご自身でどんなことができると思いますか?

西川 男性でも育休が取れるんだ、と伝えていくのが自分にできることかなと。私は自身のエピソードを話せるので、お声がかかれば積極的にそういう場に出ますし、個人同士でもオープンに話して、こういう働き方、生活の仕方をしている社員がいると知ってもらいたいですね。

須田 僕の場合は先ほどの「していい・やっていい」がひとつ。もうひとつは、私自身がどれだけ周りの人に助けられてきたのかを面白おかしく言うことです。実は10年ちょっと前に病気が原因で、4カ月ほど会社を休んだ経験があります。当然計画された出来事ではないので、急遽「今日から休みます」となったわけですが、周りの人たちはちゃんと助けてくれたし仕事は回りました。だからこそ今僕はここにいられるんですよね。自分の経験談を普段から話すことで、他者に助けてもらうハードルを低くできればと思います。

最後に、育休取得を考えている男性社員やそのマネージャーに対してのメッセージ、アドバイスをお願いします。

西川 まずは取得したいという姿勢を明らかにして相談しましょう。迷う必要はなくて、周りもなんとかしてくれるので信頼しましょう。そしてどっぷり育児してみてください。ちなみにテクニック的な話をすると、自分の業務を手離れしやすい状態にしておくこと、属人化させておかないことを普段から意識していると、いざという時にスムーズだと思います。

須田 ひとつ言うとしたら……彼の育休は4カ月でしたが、これから4カ月というとすごく長く感じても、終わってみればあっという間だと思うんです。取得を迷っている人は、ハードルを低く考えていいと思いますね。マネージャークラスの人たちにも言いたいことは同じです。育休期間はあっという間。会社を離れている間により強くなり成長した部員が、復帰後に今まで以上に活躍してくれることを期待し、率先して「いってらっしゃい」と言いましょう。