アステラス製薬

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新薬ができるまで

臨床試験を推進し、
製造販売の承認を得る

臨床開発では、研究所で創製した開発候補品に対し、医学専門家への意見聴取などを重ね臨床評価を行います。そしてその後、実際に開発候補品をヒトに投与し安全性をみた上で、患者での有効性と安全性を科学的に評価する臨床試験を推進し、薬の使い方を当局へ申請し承認を取得するまでが仕事です。承認申請を目的とした臨床試験の場合、厚生労働省が定めた厳格なルールGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)などに則って実施する必要があります。今回、スーグラの臨床開発を担当した3 人に登場してもらい、それぞれの立場で工夫したこと、感じたことを率直に語り合ってもらいました。

有効性が確認され、プロジェクトは盛り上がった

――みなさんのプロジェクトにおける役割を教えてください。

  1. 上山

    私はプロジェクト全体を統括する立場で、承認申請に必要な情報の集約を行っていました。カバーする範囲は、非臨床試験、臨床試験、製品の製造に関する情報から、当局(PMDA: 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)との折衝など幅広いものです。承認申請を目的とした臨床試験は、第I相試験(Phase 1:P1)から第III 相試験(Phase 3:P3)まであり、スーグラの場合は2006年からP1 がスタートしました。開発途中に脱落する候補品も少なくないのですが、スーグラはP2で糖尿病患者さんの血糖が低下することが確認され、本剤の作用機序が糖尿病患者さんの治療に役立つ期待が高まり、プロジェクトとしても次のステップに向けて盛り上がっていきました。その時点で私はまだメンバーではなく、P3に進んだ後に主担当となったのですが、これは絶対に薬として患者さんに届けたいという責任感で一杯でした。

  2. 数田

    実は当初、スーグラと同じ作用機序をもつ化合物を開発しておりました。その化合物が先行して臨床試験が行われていたのですが,スーグラがより優れた特性を持つことがわかり、開発の途中で切り替えた経緯があります。その際に、先行品のデータを有効に活用することで切り替えによる遅れを最小限にとどめ、その後の臨床開発をスムーズに進めることができました。

  3. 上山

    必ずしもすべてが順調だったわけではない。そういう水面下での奮闘があったうえで有効性が確認されたので、がぜん盛り上がっていったわけですね。

  4. 数田

    その通りです。私はスーグラに関する主たる臨床試験を統括する立場で、臨床開発計画の立案・実行、申請資料の作成、当局との対応などを担いました。具体的にはモニターのマネジメント、複数の臨床試験におけるプロトコール(実施計画書)に則した試験データの統一性の確保、添付文書の作成などです。

  5. 秋山

    私は入社後約7年、モニター業務を経験し、今回のプロジェクトで初めてプロトコール作成、臨床試験実行管理やデータのまとめなどを担当することになりました。また、承認申請資料の作成・改訂、当局からの照会事項への回答などにも携わることができました。プロトコールの作成、担当試験のマネジメントなど慣れない業務でしたが、緊張感とやりがいを感じつつ、新鮮な気持ちでプロジェクトに取り組むことができました。

  6. 今村

    ただ、やってみないと誰にもわからない。このテーマに賭けてみるだけの価値を見いだせるかどうか。

  7. 黒﨑

    結局、可能な限りあらゆるデータをそろえ、熱意を持って説明するしかありません。テーマ選定の段階では、その本気度が試されているともいえます。後押ししてくれる上司や仲間に恵まれたことも幸運でした。

わずか2日の差で勝ち取った1番手の承認

――プロジェクトの山場を挙げるとすると、どんなことでしたか。

  1. 上山

    とてもたくさんあるのですが、あえて挙げるなら三つになります。第一はアステラスとしては初めて、当局の事前評価相談制度を利用したことです。あらかじめ追加で確認すべきことなどを指摘していただいたので、申請から承認までがスムーズに進んだと思います。

  2. 数田

    事前評価相談といっても本申請とあまり変わらない膨大な書類を作成しなければならなかったので、実務的には大変でした。同時に臨床試験を動かしていたわけですから。ただ、薬剤としてかなり有望であることをみんなが認識していましたから、チーム一丸となって頑張れたと思います。

  3. 上山

    第二の山場は、臨床試験が終了してから承認申請までの期間を短縮し、一番手での申請を目指したところです。

  4. 秋山

    これまでにないタイプの新規作用機序をもつ薬剤として期待が大きいことは私たちもわかっていたので、1 日でも早くという思いはみんな同じでした。ただ、私も申請資料を作成するのは初めてのことで、膨大なデータをどのようにまとめるか、部門を超えて多くの方と関わりアドバイスをいただきました。また、担当していたプロトコールの試験データの確認と同時に作業するのは難しく、数田さんにSOS を出してしまいました。

  5. 数田

    秋山さんが早めに相談してくれたので、試験データの確認を他のメンバーにお願いするなど、フォローの体制を組めました。申請資料は数千ページにも及ぶもの。多数の競合品が同じような開発ステージにあったため、1 週間でも早く、いや1日でも早くと全員が頑張りました。

  6. 上山

    2013年3月13日!承認申請した日は、プロジェクトメンバー全員が一生忘れられない日になったのではないでしょうか。

  7. 数田

    でも、まだ山場があった(笑)。

  8. 上山

    そうなのです。申請しても承認されなければ、くすりとして世に出すことができません。当局から出されるさまざまな照会事項に対して、的確かつ迅速に回答する必要があります。これがうまくいかないと、数カ月単位で承認が遅れ、結果として他社に先を越されるという心配がありました。ここが三つ目の山場でしたね。

  9. 秋山

    承認後に申請日が2日違いだったことを知った時にはみんなで驚きました。

  10. 数田

    結果的にわずか2日の差で1 番手での承認にこぎ着けることができたのは、本当に凄いことだったなと改めて思います。

自分自身も成長でき、皆に誇れる活躍の場がある

――臨床開発の仕事のやりがいは、どんなところに感じていますか。

  1. 秋山

    今回、入社して初めて申請・承認のプロセスを体験できたのは、大きな財産になったと思います。数多くある開発候補品の中で実際にくすりとして世に送り出すことができるものは限られており、とても貴重な経験を積むことができました。また、初めて自分が作成したプロトコールで最初の症例の検査が実施され、試験がスタートした時は、とても感動しました。私はもともと医療機関に足を運び、ドクターやCRC(治験コーディネーター)と協力していくモニターの仕事が好きだったので、今回も試験の節目でドクターに面会し、直接患者さんのお話を聞くことができたのは楽しい体験でした。

  2. 数田

    私は申請資料においては添付文書の作成を担当したのですが、何年もかけて数多くの臨床試験を実施した成果が、A4の紙4枚程度の添付文書に反映されます。臨床開発の仕事はこの添付文書に集約され、添付文書が最終的な仕事の成果となります。薬事法やGCP、社内ルール、膨大な臨床データ、業界としての世界的な動向などをすべて勘案しながら進めなければなりません。医薬品の適正使用を進める拠り所となる文書なので、責任も重くとても大変なのですが、それだけにやりがいがありました。また、今回のプロジェクトでは、約1,600人の2型糖尿病の患者さんにご協力いただき、データをそろえました。こうした大規模な臨床試験をまとめる立場で仕事ができたことも、自分にとってかけがえのないものだったと思います。

  3. 上山

    仕事の原動力は、1日でも早く患者さんのもとに新しいくすりを届けたいという思いです。多くのメンバーと議論し、世界初の新薬や、これまで治せなかった病気のくすりの開発に携われることは、自分自身も成長でき、皆に誇れる仕事だと思っています。

  4. 秋山

    が新入社員の時、上山さんと同じチームでした。当時は頼れる先輩として仕事をしていましたが、今回はプロジェクトリーダーとして、広い視野で仕事をなさっているのだなと感じました。一方、数田さんには細かい質問をぶつけていたのですが、いつも科学的に明快に答えを出してくださるので助かりました。アステラスの開発部門には他にもさまざまな役割を持った方が、ご自身の経験や能力を活かして仕事をされています。この分野に興味を持っている方には、本当によい活躍の場が与えられているのではないでしょうか。

※所属は掲載当時のものです